最近、売却相談でこんな会話が増えました。
「近隣の条件の近いマンションは、1億2,000万円で売り出されていますよね?」
「それなのに、うちの査定は1億500万円なんですか?」
この瞬間、幡ヶ谷ベースが弱気な会社に見えてしまうことがあります。
でも、私たちが見ているのは「売り出されている価格」ではありません。
「市場が実際に反応する価格」を見ています。
この記事では、マンションの相場がどうやって作られているのか。
そして、ポータルサイトの価格と査定額が違う理由をお伝えします。
売主が見ている相場と、私たちが見ている相場は違う
売主の方が相場を調べるとき、多くはSUUMOやアットホームを見ます。
すると、
- 同じマンション
- 同じエリア
- 似たような広さ
の部屋が高値で出ているのが見つかります。
「これが相場なんだな」
と思う。これはごく自然なことです。
でも、私たち仲介会社が見ているのは少し違います。
- いつから掲載されているか
- 何回価格改定しているか
- 反響はあるのか
- 最終的にいくらで成約したのか
つまり、売りたい価格ではなく、市場が受け入れる価格を見ています。
相場は誰が作っているのか
答えを先に言います。
相場を作っているのは、売主でも不動産会社でもありません。買主です。
どれだけ高値で売り出しても、買主が動かなければその価格は「相場」にはなりません。
ポータルサイトに並んでいる価格は、「売主が希望する価格」の集まりです。
本当の相場は、実際に売れた価格の積み重ねでできています。
レインズのデータが示すこと
東日本不動産流通機構(REINS)が公表しているデータを見ると、首都圏中古マンションの成約価格より新規登録価格(売出価格)の方が高い状態が続いています。
売出価格 vs 成約価格のイメージ
※REINSデータをもとに幡ヶ谷ベースが概念図として作成。売出価格と成約価格には継続的な乖離が見られます。
つまり、
- 売れる価格
- 売りたい価格
には差があるということです。
しかも今は、売りたい価格の上昇スピードの方が速い傾向があります。
「強気価格」が増えた背景
背景の一つが、買取再販市場の活況です。
中古マンションを業者が買い取り、リノベーションして販売するケースが近年増えました。
その流れの中で、
- 高値で仕入れる
- リノベ費用をかける
- 利益を乗せる
という価格設定の物件も目立つようになりました。
それがポータルサイト上の「相場」として見えてしまう。ここが、価格の違和感の正体の一つです。
実際の売却相談から
ある売主様のお話です。
複数社に査定を依頼したうちの1社として、幡ヶ谷ベースにもご相談をいただきました。
買い替えを検討されていて、購入先候補の物件もあわせてご案内していた流れの中で、こんなことを言われました。
「ご紹介いただいた物件と比べると、うちのマンションはもっと高く売れるんじゃないですか?」
その気持ち、よくわかります。
他社さんの査定が幡ヶ谷ベースより高い目線だったことも、おそらく影響していたと思います。
結果、その方は他社さんで売り出しをスタートしました。
私たちはその後も、同じマンションの売出状況を定点観測していました。
半年たった今も、まだ売れていません。
価格は徐々に下がり、幡ヶ谷ベースが最初にお伝えした査定額に近いところまで来ています。
そして、もう一つ問題があります。
この方は「売却の目処がついたら購入予算を決める」という計画でいました。
売却が長引いているため、購入先の予算が半年以上、決められないままになっています。
「高く売り出す」という選択は間違いではありません。
ただ、計画全体への影響も含めて考える必要があります。
「まずは高く出してみる」はアリ?ナシ?
結論から言うと、条件次第でアリです。
ただし、「そのあとどうするか」がセットで必要です。
Q. 高く売り出すのはアリ?
条件次第でアリです。ただし「反響が少なければいつ下げるか」を事前に決めておくことが重要です。明確な期限と判断基準なしに始めると、ずるずると売れない期間が続くリスクがあります。
Q. 高値で出しても売れない期間が長くなるとどうなる?
「売れ残り感」がつくことがあります。問い合わせが来ても「なぜこんなに長いんだろう」と思われ、強い交渉材料にされることも。売出から3ヶ月を一つの目安にしている会社が多いです。
Q. 買い替えを考えているなら特に注意することは?
売却が長引くと、購入の予算が固まらないまま物件探しが続くことになります。「売れたら動く」という計画だと、気に入った物件が出ても動けません。タイムラインを逆算した価格設定が大切です。
値下げは失敗ではなく、市場との対話
売主様の気持ちとして、値下げはうれしいものではありません。
誰でも、
「もっと高く売れたかもしれない」
と思います。
ただ、不動産には株式のようなリアルタイム相場がありません。
実際に市場に出してみて、問い合わせ数・内覧数・申込の反応を見ながら価格を調整していきます。
そう考えると、価格改定は失敗ではなく、市場との対話のプロセスとも言えます。
なぜ査定価格は安く見えるのか?
Q. なぜ幡ヶ谷ベースの査定は他社より安く見えるの?
私たちが参照しているのは「売出価格」ではなく「成約価格」です。実際に取引が成立した価格をベースにするため、まだ売れていない強気の売出価格と比べると低く見えることがあります。ただ、これが「市場が動く価格」に近い数字です。
Q. 高い査定額を出す会社はなぜ高いの?
「まずは媒介契約をとりたい」という動機が働くケースがあります。高い査定を出して契約をとり、売れなければあとから価格改定をすすめる——という流れを「囲い込み」と言います。一括査定サイトでは特に注意が必要です。
Q. 結局、どの査定額を信じればいい?
「なぜその価格なのか」を説明できる会社の査定を信じてほしいです。根拠として成約事例を示せるか、同マンションや近隣の売出状況と比較して説明できるかが判断の基準になります。
相場だけではなく、その物件を見る時代
この記事を読んで、
「今は高いから買わない方がいいんですね」
という話ではありません。
販売開始から数日で売れる物件もあります。半年以上売れ残る物件もあります。
私たちが感じているのは、マンション市場全体が高いというより、物件ごとの評価差が大きくなっているということです。
幡ヶ谷ベースの考え方
私たちが査定でお伝えするのは、「いくらで売り出せるか」ではなく「市場がどの価格で反応するか」です。
売却価格を決めるのは不動産会社ではありません。最終的に決めるのは、市場——つまり買主です。
だからこそ、売出価格だけを見るのではなく、その価格で本当に買い手が動いているのか。そこまで見て判断することが大切だと考えています。
マンション相場は確かに上がっています。
でも、売れる価格と売りたい価格は同じではない。
最近の市場では、その差を意識することがより重要になっています。
「査定額の根拠を、ちゃんと説明してほしい」
そんな方は、一度ご相談ください。
幡ヶ谷・初台・笹塚エリアに特化して18年。
成約データをもとに、正直な価格をお伝えします。