最近、売却相談でこんな会話が増えました。
「近隣の条件の近いマンションは、1億2,000万円で売り出されていますよね?」
「それなのに、うちの査定は1億500万円なんですか?」
この瞬間、幡ヶ谷ベースが弱気な会社に見えてしまうことがあります。でも、私たちが見ているのは「売り出されている価格」ではありません。「市場が実際に反応する価格」を見ています。
この記事では、マンションの相場がどうやって作られているのか。そして、ポータルサイトの価格と査定額が違う理由をお伝えします。渋谷区エリアに特化して18年、成約データをもとに正直にお話しします。
Overview
01
相場を作っているのは誰か
02
売出価格と成約価格のズレの正体
03
査定額を正しく読むための考え方
売主が見ている相場と、私たちが見ている相場は違う
売主の方が相場を調べるとき、多くはSUUMOやアットホームを見ます。すると、同じマンション・同じエリア・似たような広さの部屋が高値で出ているのが見つかります。「これが相場なんだな」と思う。これはごく自然なことです。
でも、私たち仲介会社が見ているのは少し違います。
売主が見ているもの
- SUUMOの売出価格
- 同エリアの掲載物件
- 「今いくらで出ているか」
幡ヶ谷ベースが見るもの
- いつから掲載されているか
- 何回価格改定しているか
- 最終的にいくらで成約したか
つまり、売りたい価格ではなく、市場が受け入れる価格を見ています。
相場は誰が作っているのか
相場を作っているのは、
売主でも不動産会社でもありません。買主です。
どれだけ高値で売り出しても、買主が動かなければその価格は「相場」にはなりません。ポータルサイトに並んでいる価格は、「売主が希望する価格」の集まり。本当の相場は、実際に売れた価格の積み重ねでできています。
レインズのデータが示すこと
東日本不動産流通機構(REINS)のデータを見ると、首都圏中古マンションの成約価格より新規登録価格(売出価格)の方が高い状態が続いています。
売出価格
売主の希望価格
まだ「売れていない」
成約価格
市場が動いた価格
「実態の相場」
※REINSデータをもとに幡ヶ谷ベースが概念図として作成。売出価格と成約価格には継続的な乖離が見られます。
売れる価格と売りたい価格には差がある。しかも今は、売りたい価格の上昇スピードの方が速い傾向があります。
「強気価格」が増えた背景
背景の一つが、買取再販市場の活況です。中古マンションを業者が買い取り、リノベーションして販売するケースが近年増えました。
買取再販の価格構造
この価格がポータルサイト上の「相場」として見えてしまう。ここが、価格の違和感の正体の一つです。
実際の売却相談から
ある売主様のお話です。複数社に査定を依頼したうちの1社として、幡ヶ谷ベースにもご相談をいただきました。買い替えを検討されていて、購入先候補の物件もあわせてご案内していた流れの中で、こんなことを言われました。
「ご紹介いただいた物件と比べると、うちのマンションはもっと高く売れるんじゃないですか?」
その気持ち、よくわかります。他社さんの査定が幡ヶ谷ベースより高い目線だったことも、おそらく影響していたと思います。
その後の経過
売出開始
他社の高い査定を選び、希望価格で売り出しスタート
3ヶ月後
反響は少なく、購入予算も決められないまま物件探しが止まる
半年後(現在)
まだ売れていない。価格は幡ヶ谷ベースの査定額近くまで下がってきた
「高く売り出す」という選択は間違いではありません。ただ、計画全体への影響も含めて考える必要があります。
値下げは失敗ではなく、市場との対話
売主様の気持ちとして、値下げはうれしいものではありません。誰でも「もっと高く売れたかもしれない」と思います。
ただ、不動産には株式のようなリアルタイム相場がありません。実際に市場に出してみて、問い合わせ数・内覧数・申込の反応を見ながら価格を調整していきます。そう考えると、価格改定は失敗ではなく、市場との対話のプロセスとも言えます。
幡ヶ谷ベースの考え方
私たちが査定でお伝えするのは、「いくらで売り出せるか」ではなく「市場がどの価格で反応するか」です。
売却価格を決めるのは不動産会社ではありません。最終的に決めるのは、市場——つまり買主です。だからこそ、売出価格だけを見るのではなく、その価格で本当に買い手が動いているのか。そこまで見て判断することが大切だと考えています。
マンション相場は確かに上がっています。でも、売れる価格と売りたい価格は同じではない。最近の市場では、その差を意識することがより重要になっています。
よくある質問
SUUMOなどのポータルサイトで「現在売り出されている価格帯」を把握するのは第一歩として有効です。ただし、それは「売主の希望価格」であって、成約相場とは異なります。より実態に近いのは、国土交通省の不動産情報ライブラリやREINSの成約データです。幡ヶ谷ベースでは各駅の成約相場記事を公開していますので、あわせてご覧ください。
ポータルサイトに載っている価格は「売主が出したい価格」です。査定額は「実際に取引が成立した成約価格」をベースにしています。売れていない物件の価格がいくら高くても、それは相場にはなりません。この差が「査定が安く見える」原因の多くです。
条件次第でアリです。ただし「反響が少なければいつ下げるか」を事前に決めておくことが重要です。明確な期限と判断基準なしに始めると、ずるずると売れない期間が続くリスクがあります。特に買い替えを並行している場合は、売却が長引くと購入計画も止まります。開始前に出口ラインを決めておいてほしいです。
「売れ残り感」がつくことがあります。問い合わせが来ても「なぜこんなに長いんだろう」と思われ、強い値引き交渉の材料にされることも。売出から3ヶ月を一つの目安にしている会社が多いです。また、購入と並行している場合は、売却の遅れがそのまま購入予算の未確定につながります。
そうは思いません。不動産には株のようなリアルタイム相場がないため、実際に出してみて市場の反応を見ながら調整するのは正しいプロセスです。大切なのは「なぜ下げるのか」を自分で納得して動くこと。根拠なく下げ続けるのではなく、反響数・内覧数・申込有無を見て判断することが重要です。
私たちが参照しているのは「売出価格」ではなく「成約価格」です。実際に取引が成立した価格をベースにするため、まだ売れていない強気の売出価格と比べると低く見えることがあります。ただ、これが「市場が動く価格」に近い数字です。根拠として成約事例をお見せできます。
「まずは媒介契約をとりたい」という動機が働くケースがあります。高い査定を出して契約をとり、売れなければあとから価格改定をすすめる——この流れを「囲い込み」と言います。一括査定サイト経由では特に注意が必要です。査定額より「なぜその価格か」を説明できるかどうかを確認してほしいです。
比較する意味はあります。ただし一括査定サイト経由は避けた方が無難です。営業電話が複数来て疲弊するうえ、高額査定で競い合う構造になりやすい。エリアに詳しい会社2〜3社に直接依頼して、それぞれの根拠を比べるのがおすすめです。
売却が長引くと、購入の予算が固まらないまま物件探しが続くことになります。「売れたら動く」という計画だと、気に入った物件が出ても動けません。タイムラインを逆算した価格設定が大切です。「いつまでに売れればいいか」から逆算して、売出価格の上限を決めることをおすすめします。
「なぜその価格なのか」を説明できる会社の査定を信じてほしいです。根拠として成約事例を示せるか、同マンションや近隣の売出状況と比較して説明できるかが判断の基準になります。数字の高い低いより、説明の中身を見てください。
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幡ヶ谷・初台・笹塚エリアに特化して18年。
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