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マンション建替えはなぜ難しいのか|初台の実例と7年間のタイムライン

マンション建替えはなぜ難しいのか|初台の実例と7年間のタイムライン New

「うちのマンション、そのうち建て替えになるのかな」

築古マンションを持っているオーナーさんから、よく聞く言葉です。

結論から言います。建て替えは、起きます。ただし、めったに起きません。

渋谷区初台で実際に築53年のマンションが18階建てに生まれ変わった事例があります。でもそこに至るまで、推進決議から竣工まで約7年かかっています。法律・合意形成・費用・時間——越えるべきハードルが、いくつもあるんです。

この記事では、その実例を軸に「建て替えとは何か」「何が難しいのか」「オーナーとしてどう考えるか」を整理します。築古マンションの購入を検討している方にも、判断材料になる内容だと思います。

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築53年のマンションが、18階建て116戸に生まれ変わった

初台駅から徒歩2分。甲州街道沿いに建つ「パークホームズ初台 ザ レジデンス」は、2022年に竣工した分譲マンションです。

でも実は、ここには前身があります。1969年竣工の藤和初台コープ——旧耐震世代、14階建て61戸の分譲マンションです。それが建て替えによって、18階建て116戸に生まれ変わりました。

Before — 藤和初台コープ

  • 竣工:1969年(築53年)
  • 階数:地上14階
  • 総戸数:61戸
  • 耐震基準:旧耐震

After — パークホームズ初台 ザ レジデンス

  • 竣工:2022年
  • 階数:地上18階
  • 総戸数:116戸
  • 耐震基準:新耐震(2000年基準)

戸数は約2倍。隣接地を取り込んで敷地を拡張したことで、これだけの規模拡大が実現しました。

発案から竣工まで——7年間の記録

「建て替えってすぐできるの?」と思った方に、まず見てほしいのがこのタイムラインです。

1969

藤和初台コープ 竣工

14階建て・61戸。旧耐震基準で建設

2011

甲州街道が特定緊急輸送道路に指定

大震災時の救急・物資輸送路として沿道建物に耐震化が求められる

2015

耐震診断で「耐震性不足」が判明 → 建替え推進決議

コンクリート強度・施工上の問題から耐震補強が困難と判断。三井不動産レジデンシャルが事業協力者に選定

2017

建替え決議 成立

区分所有者の4/5以上の同意を取得

2018

建替組合 設立認可

三井不動産レジデンシャル・ワールドレジデンシャルが参加組合員として参画

2019

権利変換計画 認可 → 解体工事 着手

元の区分所有者は新マンションの住戸に権利を移行(権利変換方式)

2020

新築工事 着工

2022

パークホームズ初台 ザ レジデンス 竣工

推進決議から約7年。三井不動産レジデンシャル「マンション再生推進部」新設後の第1号竣工案件

推進決議(2015年)から竣工(2022年)まで約7年。これが現実のスケール感です。

購入検討者の方にも伝えたいのは、「建て替えはそう簡単には起きない」ということ。建て替え期待で築古を買うのは、相当な長期視点が必要だということが見えてきます。

この建て替えが成立した「3つの条件」

なぜこのマンションは建て替えに成功できたのか。背景を整理すると、3つの条件が重なっていたことがわかります。

01

「建て替えざるを得ない」明確な理由があった

耐震診断で性能不足が判明し、かつ補強工事も困難という状況。「やりたい」ではなく「やらなければ」という状況が、合意形成を後押しした。

02

隣接地との一体開発で「採算が合う」設計にできた

隣接地を取り込んで敷地を拡張。戸数を61戸から116戸に増やすことで、新たに生まれた住戸(約55戸)を一般分譲することで事業費を回収。これなしには成立しなかった。

03

大手デベロッパーが早期から入った

三井不動産レジデンシャルが事業協力者として参画し、区分所有者への説明・仮住まい手配・権利変換手続きをサポート。個人の管理組合だけでは動かせない規模の事務作業を担った。

建て替えのハードル——正直に話します

「うちのマンションも建て替えできる?」と気になった方のために、現実のハードルを整理します。

Check — 建て替えに必要なこと

  • + 区分所有者の4/5以上の同意が必要(マンション建替え円滑化法)
  • + 事業採算の成立——増床できる容積率の余裕がないと費用回収が難しい
  • + デベロッパーの参画——個人の管理組合だけでは事務的・法律的に対応困難
  • · 推進決議から竣工まで最低でも5〜10年の時間がかかる
  • · 区分所有者の費用負担が発生するケースもある
  • · 工事中は仮住まいが必要(仮住まいコストが生じる)

特に重いのが「4/5同意」です。20戸のマンションなら16戸が賛成しなければならない。区分所有者が高齢化・分散していると、それだけで何年もかかります。

建て替えが「難しいマンション」の特徴

実際のところ、建て替えが動きやすいマンションと、ほぼ動かないマンションがあります。

条件 建て替えが動きやすい 動きにくい
戸数規模 50戸以上(採算が立ちやすい) 20戸以下(増床しても採算が合わない)
容積率の余裕 現状より戸数を増やせる余地がある すでに容積率いっぱいで建っている
立地・需要 駅近・人気エリア(分譲分が売れる) 需要が薄く新築販売が難しい立地
管理組合の状態 機能していて合意形成しやすい 機能不全・区分所有者が分散
築年数・状態 旧耐震+耐震補強困難 新耐震・補強対応済み

初台の事例はこの「動きやすい条件」がほぼ揃っていました。都心駅近・容積率に余地・大手デベが入れる規模——このどれが欠けても、同じようには進まなかったと思います。

オーナーへ——建て替えを「待つ」前に考えてほしいこと

築古マンションを所有しているオーナーさんに、正直に伝えたいことがあります。

「いつか建て替えになるから、それまで持っておこう」という判断は、慎重に考えてほしいんです。

Insight

  • 建て替えが動くかどうかは、自分だけでは決められない(他の区分所有者次第)
  • 建て替えが「噂」になると、買い手がつきにくくなることもある
  • 建て替えまでの10年間、管理費・修繕積立金・固定資産税は発生し続ける
  • 今の価格水準は、歴史的に見ても高い。売り時の選択肢として意識する価値がある

「建て替えに参加したい」「待てる状況にある」という方は、そのまま情報収集を続けてください。でも「持ち続けるコスト」と「今売った場合の手取り」を一度比べてみることも、大事な判断材料になります。

幡ヶ谷ベースでは、査定だけのご相談も受け付けています。「売るかどうかはまだ決めていない」という段階でも、気軽に話しかけてほしいです。

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購入検討者へ——「建て替え期待」で築古を買うリスク

「旧耐震でも、いつか建て替えになるならいいか」と考えて築古を検討している方にも、このタイムラインを見てほしいんです。

初台の事例でも、耐震診断から竣工まで7年かかっています。建て替えが「動き始めた」マンションでも、実際に住めるようになるまでの時間と不確実性は相当あります。

Check — 築古購入前に確認したいこと

  • + 耐震診断は実施済みか、結果はどうか
  • + 修繕積立金は適切に積み立てられているか
  • + 管理組合は機能しているか
  • · 住宅ローンの審査が通るか(旧耐震は審査が厳しくなる金融機関が多い)
  • · 将来の売却時に買い手がつくエリア・規模か

旧耐震マンションのすべてが「ダメ」なわけではありません。ただ、建て替え期待だけで判断するのは危険です。物件ごとの管理状況と、自分のライフプランを照らし合わせて考えてほしいです。

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